令和4年度2次補正予算が2022年12月2日に成立し、2023年度のものづくり補助金の内容が変わりました。
特に中小企業の皆様にとっては、補助金額の拡大や新たな要件が追加されたことで、非常に魅力的な制度へと生まれ変わっています。
補助金を利用してビジネスをさらに拡大したい方は、本記事を参考にしてください。
\補助金でお困りの方は一度ご相談ください!/
ものづくり補助金(15次締切)からの主な変更点
ものづくり補助金(16次締切)の主な変更点は、次の5つです。
① 大幅な賃上げを行うと100万円〜1,000万円の上乗せ
従業員に対する大幅な賃上げを実施する場合に、補助金額が上乗せされます。
上乗せされる額は、以下のとおりです。
従業員数 | 上乗せ額 |
---|---|
5人以下 | 100万円 |
6〜20人 | 100万円 |
21人以上 | 1,000万円 |
なお、補助率は申請枠ごとの補助率となります。
この上乗せの対象は、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」以外のすべての枠組みに適用されます。
“大幅な”賃上げってどれくらい?
大幅な賃上げとは、下記の2つの条件を満たすものを指します。
なお、万が一これらの要件を満たせなかった場合は、上乗せされた補助金の全額返金が求められます。
② グリーン枠が3類型になり、基礎的な環境対策も可
グリーン枠とは、環境対応の設備やシステム投資を後押しするための枠です。
今年からエントリー、スタンダード、アドバンスという3つのカテゴリーに分けられました。
申請する類型によって、補助上限額の拡大範囲が変わります。
類型 | 補助上限額の拡大範囲 |
---|---|
エントリー | 750万円〜1,250万円以内 |
スタンダード | 1,000万円〜2,000万円以内 |
アドバンス | 2,000万円〜4,000万円以内 |
3段階に分けられたことによって、基本的な環境対策から始めたい事業者でも、補助を受けることが可能です。
さらに、先進的な環境取り組みを進めている事業者には、これまでよりも充実した補助が提供されます。
温室効果ガスを削減しようとするあらゆる事業者にとって、より利用しやすい制度となっています。
③ 海外事業の支援は下限が100万円〜に引き下げ
「グローバル展開型」は、「グローバル市場開拓枠」に名称変更され、要件緩和がなされました。
内容としては、補助金の下限額が1,000万円からわずか100万円に引き下げられるため、小さな設備やシステム投資でも補助を受けることができるようになります。
さらに、ブランディングやプロモーション活動にかかる経費も補助の範囲に追加されました。
これにより、多岐にわたる事業展開をサポートするための補助が利用しやすくなります。
④ 2024年から「認定機器・システム導入型」が新設
本補助金の新たな枠である「認定機器・システム導入型」が2024年以降に新設される予定です。
この新設される補助金は、各業界の特定の課題を解決するための機械やシステムの導入を強力にサポートするものです。
具体的な中身については、以下の3段階で決定していきます。
- 各業界からの提案をもとに、各業界における課題を特定し、認定。
- 認定された課題に対応する機械やシステムをメーカーが自主的に開発。
- それらの機械やシステムが認定し、特に中小企業への導入を支援
第一段階の「課題の認定」については、早速2023年からスタートします。
また、補助金額と補助率の内容は、以下のとおりとなる予定です。
⑤ 「ビジネスモデル構築型」が廃止
「ビジネスモデル構築型」は、廃止されることが決定しました。
この枠は、中小企業の革新的な事業計画の作成サポートを行うサービスに対する補助でしたが、最終の公募も終了しています。
ただし、この補助枠は、30以上の中小企業を支援している大手企業が対象だったので、一般の中小企業オーナーや経営者の方々には、廃止による直接的な影響は少ないと考えられます。
今後の予想採択率(2023年9月時点)
ものづくり補助金はの採択率は、もしかしたら今後低下していくかもしれません。
以下では、私の予想を解説します。
まずは、以下のグラフをご覧ください。
このグラフは、1次から14次までのものづくり補助金の申請件数の推移です。
例えば直近の14次締切だと、4,864社のうち50.7%、つまり約2,400社が採択されたことになります。
この理由としては、予算に限りがあるためです。
そのため、応募者数が増えると当然ですが採択率は下がります。
これらを踏まえた上で、今後の予想としては、ものづくり補助金の人気の高まりから、採択率は今よりも下がってくるのではないかと考えられます。
直近の14次締切時点では50.7%ですが、今後40~45%前後に落ち着くのではないか、というのが私の予想です。
補助上限額と補助率はどれくらい?
ものづくり補助金の補助上限額と補助率は、申請類型によって異なります。
補助上限額は、750万円〜5,000万円です。
補助率は、1/2〜1/3です。
上の表の見方を解説します。
例えば、従業員数が5名の事業者が、「通常枠」に申請した場合だと、
となります。
また、製造業の場合、従業員数が21名以上であれば、同じ「通常枠」でも補助率は1/2となってしまいます。
これは、20名以下であれば「小規模事業者」とみなされ、補助率がアップするためです。
上記のとおり、業種によって小規模事業者の人数が異なるため、注意が必要です。
ここを間違えて申請してしまうと、想定よりも低い補助額になり損をする可能性もあります。
場合によっては会社役員も事業者に含めることが可能なので、もし不安な方は下記フォームからお気軽ご相談ください。
各種枠組みの概要・オススメの申請枠
先ほど紹介した「通常枠」以外にも、ものづくり補助金には様々な枠組みがあります。
また、これらに加えて、「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」があります。
それぞれの補助対象は、次のとおり。
これらを行うために必要な機械設備が補助金の対象となります。
ちなみに、デジタル枠は補助率が一律で2/3に設定されています。
そのため、例えば製造業で従業員数が21人以上の場合、「通常枠」では1/2のところ、「デジタル枠」であれば2/3に上がるので有利になります。
また、採択率も、通常枠よりも採択されやすい枠となっているためオススメです。
前者は、前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下(赤字)であることが要件なのですが、そもそも赤字の中で補助金をアテにしてまで莫大な先行投資をすべきかどうかという点について、再度検討した方が良いと思うからです。
また、グローバル市場開拓枠については、要件が厳しく、採択率も低いため、こちらもあまりオススメはできません。
スケジュールは締切日から逆算して余裕を持ちましょう!
ものづくり補助金(16次締切)の各種期日は、以下のとおりです。
この期日もとに、準備期間を含めたスケジュールを作成しましょう。
一般的には、事業計画書の準備は2ヶ月程度かかるので、9月中に準備を始めることをお勧めします!
では、準備期間に何をするかというと、以下のとおりです。
ちなみに、この辺りは今後のブログ記事でも詳しく解説予定ですので、ご期待ください。
ものづくり補助金の概要
ここでは、以下の3点を解説します。
ものづくり補助金の趣旨(目的)
世の中には数百種類の補助金があります。
それら補助金の一つひとつに、「どのような人に、どういうプロジェクトに対して使って欲しい」といった理想とする企画像が設定されています。
そして、その企画像を描いているのが「補助金の趣旨(目的)」です。
ものづくり補助金の趣旨(目的)は、次のとおりです。
「中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。」
公募要領の5ページに記載あり
補助金の設計者(国)の狙いは、以下のようなものでしょう。
そのため、この補助金に採択されたとしても、期間以内に賃金引上げなどの目標を達成できなかった場合、ペナルティが生じる可能性があります。
申請者全員が補助金をもらえるわけではない
ものづくり補助金は、申請した全ての事業者が補助金を受け取れるわけではありません。
書類審査があり、「採択」された事業者だけが補助金を受け取ることができます。
採択されるためには、審査員を納得させるだけのしっかりとした事業計画書の作成が必要です。
事業計画書の作成については、別の記事でも紹介していますが、時間がない方や公文書の作成に自信のない方は、弊社のような「補助金のプロ」に相談することもオススメです。
また、参考までに、ものづくり補助金の採択率は、おおよそ3割〜6割と言われています。
gビズIDを使った電子申請が必要
ものづくり補助金の申請にあたっては、事前にgビズIDプライムアカウントを作成する必要があります。
まだアカウントをお持ちでない方は、事前に取得しておくようにしましょう。
また、申請の際には、印鑑証明書や代表社印なども必要となります。
申請書類を作成する際のポイント
ものづくり補助金を申請する際には、「事業計画書」という書類を提出します。
この事業計画書こそが、採択の成否を分ける重要書類です。
また、事業計画書以外にも、決算書や見積書なども必要となってきます。
以下では、事業計画書を作成するにあたって、押さえておくべきポイント3選と、採択されやすい申請の特徴4選を紹介します。
押さえておくべきポイント3選
ものづくり補助金の事業計画書を作成する際には、ホームページや公募要領を参照するようにしましょう。
なぜなら、採択率アップにつながるヒントが記載されているからです。
ここでは、採択率アップのために押さえておくべきポイントを3つ紹介します。
専門知識がない人でもわかる内容にする
事業計画書は、分かりやすさを意識して作りましょう。
詳しくない業界の専門用語まで網羅していることが理想でしょうが、実際はそんなことはありません。わからないことも当然あるのです。
どれだけ内容が素晴らしい計画書でも、それが審査員に伝わらなければ採択につながることはないでしょう。
私のオススメは、「図、写真、表、箇条書き」を駆使することです。
文字だけの計画書と比べて、格段に見やすくわかりやすい計画書が出来上がりますよ。
加点項目を盛り込む
ものづくり補助金の公募要領を確認してみると、「加点項目」が列挙されています。
これらに該当する場合には、追加書類を提出するようにしましょう。
加点項目の詳細は、公募要領の34ページ以降に記載があります。
「革新的」であることを意識する
公募要領の中には、あるキーワードが出てきます。
それが「革新的」というワードです。
このように度々登場するこのワードは、意図して使われている表現であると考えられます。
そこで、事業計画書を作成する際には「革新的」という要素を意識して取り入れるようにしましょう。
補助金の趣旨を理解していることの証明になり、採択率アップに寄与する可能性があります。
採択されやすい申請の特徴4選
弊社では、おかげさまで数多くの補助金申請をサポートさせていただいております。
私がこれまで100件以上の申請サポートをした経験の中で、相談を受けた瞬間に、
この申請は絶対採択されるだろう
と感じる時があります。
そのような申請に共有する特徴を4つにまとめましたので、紹介します。
1 事業計画書
採択されやすい事業計画書は、事業の実現可能性が高く感じられるものになっています。
具体的には、以下のとおり。
2 決算書
採択されやすい事業者の決算書は、「事業に必要な資金が十分に用意できる」状態であることが多いです。
決算が赤字では借入もしづらい状態になっているので、そのような決算書は採択率が低くなる傾向にあります。
例えば、1,500万円の設備を導入するとします。
この時、自己資金と銀行からの借入で資金を拠出したいのに、借入が難しい決算書になっていると、採択率は低くなりがちです。
3 従業員名簿・賃金台帳
従業員名簿や賃金台帳は、通常作成しているもので基本的には問題ありませんが、補助金申請する時には細かな体裁チェックが必要となることもあります。
どれだけ計画書の内容が秀逸でも、補助金事務局が指定する事項が書いていなければ、書類不備で一発アウトになることもあります。
この辺りも、不安な方は専門家への相談をオススメします。
4 見積書
補助金を申請する際には、「導入したい設備の仕様が書かれている」など、補助金のルールに沿った見積書を取得する必要があります。
採択されてから「補助対象外です」と弾かれることをリスクを抑えるためにも、専門家の知識が必要と言えるでしょう。
ものづくり補助金2023年で採択を受けるためのコツ
採択を勝ち取るためのコツは、次の3点に集約されます。
これらの詳細についても、今後のブログ記事で解説予定ですので、今しばらくお待ちください。
まとめ
ものづくり補助金の活用を検討している場合は、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
申請締切のおおよそ2ヶ月前から準備すると、余裕を持って申請できます。
16次締切の締切は2023年11月7日のため、9月中には準備に向けて動くようにしましょう。
補助金申請に関して、少しでもわからないことがございましたら、ぜひ弊社にご相談ください!
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