神奈川県で製造業を営まれている事業者の方には、次のような悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。
そこで、この記事では、神奈川県が実施している補助金の中から、製造業の方が利用いただける補助金をピックアップして、補助金ごとの特徴やメリット・デメリットも解説します。
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神奈川県の補助金の特徴
神奈川県の補助金の特徴としては、次の2点が挙げられます。
設備投資に活用できる補助金が意外にも少ない
神奈川県の補助金の特徴1つ目は、設備投資向けの補助金が思ったよりも限られている点です。
神奈川県の公式ホームページには「県単独補助金等の一覧」というページがあります。
このページのうち、「団体等に対する補助金等」というPDFデータを参照すると、神奈川県の補助金予算を確認することができます。
神奈川県は都市部から農村部まで多様な地域が存在するため、予算の分配が様々な方向に行われることが必要です。
このため、設備投資を主目的とする活用しやすい補助金は、現状で2つしか提供されていないというのが現実です。
募集は毎年4~6月頃。年1回~2回と少なめ
神奈川県の補助金の特徴2つ目は、年間の募集回数が1~2回と限定的である点が挙げられます。
この募集頻度の少なさの背景には、「限られた予算」と「高い人気」という2つの要素があり、一度の募集でその年度の予算が使い切られることが多いからです。
また、神奈川県の補助金は「単年度予算」として管理されており、事業開始のタイミングに関わらず、年度末の2月ごろまでには事業を完了する必要があります。
例えば、4月から5月の募集で、8月に補助金が採択された場合、事業実施可能な期間は6ヶ月となります。
一方、第2回の募集が10月で、12月に採択されると、実施可能期間はわずか2ヶ月間となります。これは、事業の終了期限が年度末に固定されているためです。
このような制約から、補助金を利用する際の計画性が求められます。
製造業が設備投資に使える神奈川県の独自補助金おすすめトップ2
以上2つの特徴を踏まえた上で、製造業の方が設備投資に使える神奈川県の独自補助金おすすめトップ2を紹介します 。
神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金
(1)補助金の目的
神奈川県が提供する「ビジネスモデル転換事業費補助金」は、2020年のコロナ禍を背景に設けられた支援策です。
この補助金は、エネルギーや原材料のコスト増によって困難を経験している地域の中小企業が、環境に優しい取り組みや良好な取引関係の確立を目的として、新しい事業への移行をサポートするためのものです。
電気やガス等エネルギー価格や原材料価格の高騰等により、事業に影響を受けている中小企業者等が、脱炭素や適正な取引関係の構築などの取組を通じて、賃上げを含む新たな付加価値の創造を実現するため、県内の事業所で実施する既存事業から新事業(新商品や新サービス、新たな生産方式)へのビジネスモデル転換に取り組む費用の一部を補助することにより、中小企業者等の「稼ぐ力」を回復・強化させ、本県経済の回復・成長を促進する。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jf2/r5_tenkan.html
(2)主な対象者
神奈川県内の中小企業が主な対象となっており、脱炭素やエネルギーコスト高騰への対策、下請けや外注先との良好な取引関係の確立を目的としたビジネスを展開する際の補助として利用できます。
この補助金の利用は、製造業に限られるわけではありませんが、製造業の企業には特に活用しやすいでしょう。
「炭素排出量を減少させる」と聞くと難しそうに聞こえるかもしれませんが、実際には省エネルギーの取り組みを意味します。
省エネルギーを推進し、高い利益を生み出し、取引関係先にも利益を行き渡らせる良好な関係を築くようなプロジェクトがこの補助金の対象となります。
(3)補助率・上限額
補助金の上限は非常に高く、4分の3の補助率で、最大3,000万円までとなっています。
そのため、4,000万円の設備投資があれば、満額を受け取ることが可能です。
(4)申請時期
スマートファクトリー促進事業
(1)補助金の目的
中小製造業の脱炭素化の実現に向けた取組を一層促進するため、県内中小製造業者のカーボンニュートラル実施計画の策定とエネルギーマネジメントシステムの導入を支援・補助します。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/sf/sf.html
カーボンニュートラルとは、工場での製品や部品の生産に伴う炭素排出量を計測し、その排出量を減少させることを指します。
この補助金は、そのような取り組みをサポートするために提供されます。
具体的な補助内容としては、現在の炭素排出量の算定や、炭素排出量を減少させるための実施計画の策定を専門家がサポートします。
さらに、エネルギーマネジメントシステムという、エネルギー使用量を自動で計測するシステムの導入をサポートします。
(2)主な対象者
対象となるのは、県内の中小製造事業者で、金属接続加工や食品製造など、製造業であれば申請が可能です。
(3)補助率・上限額
補助の詳細については、補助率は3分の1、上限額は900万円です。
つまり、2,700万円のエネルギーマネジメントシステムを導入する際には、満額の900万円を補助として受け取ることができます。
(4)申請時期
申請時期の実績として、令和5年では1回目の募集が5月から6月、2回目の募集が6月から7月となっています。
これは令和5年募集の実績のため、一例としてご参考までに。
神奈川県の製造業が応募すべき補助金活用の優先順位
補助金は取り組みが重複しなければ、複数の補助金を同時に申請することも可能です。
補助率・補助金額・難易度を踏まえて、神奈川県の製造業のみなさんが全国の補助金を含めどのような順番で補助金を検討すべきか解説します。
神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金(神奈川県限定)
オススメの補助金第1位は、「神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金」です。
メリット・デメリットそそれぞれ見ていきましょう。
補助金の中でも、上限額3,000万円、補助率が4分の3というのは非常に魅力的な条件です。
全国規模で見ても、この条件を超える補助金はほぼ見当たらないでしょう。
さらに、申請の際に「賃上げ」を必須条件としないため、経営者にとっては固定費の増加を心配する必要がありません。
これにより、非常に取り組みやすい補助金と言えます。
また、この補助金には、「過去にこの補助金を受け取った企業は再申請ができない」というルールがあります。
この補助金は、コロナが影響を及ぼした2020年度に導入されました。
令和5年現在で、既に4年間の実績があります。
そのため、多くの主要な中小企業はすでに応募済みであり、今後の申請者は競合が少なくなると見込まれます。
この状況は、新たな申請者にとっては採択率が向上するチャンスとなるでしょう。
一方で、デメリットは以下の通りです。
1つ目のデメリットとして、募集が年1回限りである点が挙げられます。
申請のタイミングを逃してしまうと、次のチャンスは翌年まで待たなければならないのです。
特に、補助金の利用計画と実際の設備投資計画のタイミングが合わない場合、最適な時期に補助金を活用できない可能性が高まります。
2つ目のデメリットは、事業の実施期間が短いということ。
例えば、令和5年の実績では、採択・交付決定は8月末に行われており、実施期間が2月末までとなっています。
このように、6ヶ月という短い期間の中で事業を進めなければならないのです。
大型の工作機械や設備の導入を考える場合、注文から納品までの期間が6ヶ月以上かかることも少なくないため、この制度を上手く活用するのは難しい場面もあるでしょう。
3つ目のデメリットは、特に重要です。
この補助金は、一度採択されると再度の申請ができないという制度になっています。
メリットが大きい反面、活用のタイミングを非常に慎重に選ぶ必要があるでしょう。
補助金の額やその有用性から、どのタイミング、どのプロジェクトで利用するのが最も効果的かをしっかりと検討する必要があります。
ものづくり補助金(全国)
オススメの補助金第2位は、「ものづくり補助金」です。
こちらは国の制度であるため、神奈川県に限らず、全国の事業者が利用することができますね。
メリットとしては、年間4回の募集があるため、通年での申請が可能です。
これにより、自社の設備投資計画に合わせて、最適なタイミングでの申請が選べます。
また、補助金の金額は750万円から1,250万円、補助率は3分の2から2分の1程度となっており、2,000万円前後の工作機械の導入に適した金額といえるでしょう。
特筆すべき点として、一度採択された後でも、一定の期間が経過すれば再申請が可能です。
これは、補助金を再度利用したいと考える事業者にとって、非常に魅力的なポイントとなります。
一方、デメリットとしては、この補助金を受けるためには、従業員の賃上げが必須となる点です。
賃上げにより固定費が増加するため、それに伴うメリットとのバランスをしっかりと考慮する必要があります。
さらに、補助金の上限額や補助率は、先ほどオススメ第1位で紹介した「神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金」と比較するとやや低めとなっているため、大規模な設備投資を検討する際には、自己負担が増える点も留意が必要です。
スマートファクトリー事業(神奈川県限定)
オススメの補助金第3位は、「スマートファクトリー事業」です。
まず、スマートファクトリー事業の最大のメリットは、採択を受けると炭素排出量の現地診断を専門家が実施してくれる点です。
これは、炭素排出量の管理や削減にまだ取り組んでいない企業にとって、初めての取り組みとして最適なステップとなります。
さらに、この補助金はエネルギーマネジメントシステムの導入をサポートしています。
このシステムは、工場や施設でのエネルギー利用の状況を”見える化”し、最適なエネルギー使用を実現するための管理・分析・制御を行うものです。
このようなシステム導入を元々検討している事業者にとっては、活用しやすい補助金と言えるでしょう。
今後、社会全体の「脱炭素化」の動きはますます広がっていくと思われます。
そのため、自社の炭素排出量を知っておくことは、今後のカーボンニュートラル関連の大型補助金の申請にも有利となります。
デメリットとしては、補助率が3分の1とやや低く、上限額は900万円という制約があります。
このため、設備投資における自己負担が増える可能性があります。
また、採択される企業数が年間12社と限られており、競争が激しいことも考慮すべき点です。
申請する企業もそこまで多くはないと予想されますが、とはいえ12社と限定されているため、当面は採択率が低くなるのではないかと思われます。
おわりに
以上で紹介した内容は、あくまで一般論です。
どういう組み合わせや順番で補助金を応募していくかは、各社の設備投資タイミングや資金状況、社内体制の状況により変わります。
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