業務改善助成金とは?賃金上昇と設備投資を同時に推進させよう!制度の概要や活用方法を解説

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業務改善助成金は、企業の生産性向上と従業員福祉の向上を推進させることができる制度です。

この記事では、助成金の適用条件、申請の流れ、そして効果的な活用方法について詳しく解説します。

特に、毎年従業員の賃金を上げている企業や、新しい設備投資を検討している事業者にとっては、利用価値の高い助成金と言えます。

  • 業務改善助成金ってどんな制度なの?
  • 公式ページは分かりづらいから、教えて欲しい⋯⋯!

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

本助成金の活用により、賃上げに伴うリスクを軽減し、経営の効率化を図ることが可能です。

業務改善助成金を最大限に活用して、事業の成長を加速させましょう!

 

補助金でお困りの方は一度ご相談ください!/

 

業務改善助成金の概要

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.htmlから引用

「事業場内最低賃金」とは、事業所や工場で支払われる従業員の最低時給のことを指します。

この最低賃金を引き上げることは、助成金申請のための要件の一つです。

ちなみに、この賃金引き上げは助成金申請の”前”であっても問題ありません

最近、従業員の賃金を引き上げた企業は、この助成金の申請条件を満たしている可能性が高く、申請を検討する価値があるでしょう。

 

業務改善助成金の対象者・支給要件 

業務改善助成金の対象者や支給要件は次のとおりです。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

 

要件①:中小企業・小規模事業者であること

要件の1つ目は、「中小企業・小規模事業者であること」です。

この補助金において、「中小企業・小規模事業者」とは、下記の表のA又はBの要件を満たす事業者のことです。

 

業種A 資本金または出資額B 常時使用する労働者
小売業小売業、飲食店など5000万円以下50人以下
サービス業物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など5000万円以下100人以下
卸売業卸売業1億円以下100人以下
その他の業種農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業など3億円以下300人以下
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.htmlを参考に作成

 

業務改善助成金の対象は、主に中小規模の企業です。大企業のように規模が大きな会社は対象外ですが、中小企業や個人事業主であれば、この助成金の対象となります。

つまり、法人組織でも個人経営でも、小規模なビジネスであれば問題なく申請可能です。

 

要件②:事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること

要件の2つ目は、「事業場内最低賃金地域別最低賃金の差額が50円以内であること」です。

事業場内最低賃金」とは、具体的には工場やオフィスなど、各事業所での従業員の最低時給を指します。

一方で、「地域別最低賃金」は各都道府県で定められた最低賃金のことを言います。

これら二つの賃金の差が50円以内ならば、助成金の申請条件を満たすことになります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.htmlから引用

例えば、A社が3つの事業場を運営しているとします:事業場A(工場)、事業場B(オフィス)、事業場C(オフィス)です。

  • 事業場Aの最低賃金が910円
  • 事業場Bの最低賃金が940円
  • 事業場Cの最低賃金が955円

そして、この地域の地域別最低賃金が900円だとしましょう。

この場合、事業場Aと事業場Bの最低賃金は950円以下ですから、これらは業務改善助成金の申請が可能です。

しかし、事業場Cの場合、最低賃金が地域別最低賃金から50円以上高くなっているため、この事業場に関しては助成金の申請ができません。

このように、各事業場の最低賃金と地域別最低賃金との差を考慮して申請の可否が決まります。

 

要件③:解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

要件の3つ目は、「解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと」です。

これは、以下のような状況を指します。

  • 会社都合による解雇がないこと:助成金の申請を検討している企業は、過去に従業員を会社都合で解雇していない状態である必要があります。
  • 過去6ヶ月間で従業員の賃金を引き下げていないこと:申請する企業は、過去6ヶ月以内に従業員の給与を減少させた実績がないことが求められます。

この要件に関しては、詳細な規定が20ページ以上にわたって存在するため、詳細な情報が必要な場合は弊社までお問い合わせください。

基本的には、最近において従業員の解雇や賃金の引き下げを行っていなければ、助成金の申請が可能です。

 

業務改善助成金の助成額・助成率・助成対象経費

助成額

助成金額は、「事業場内最低賃金をいくら引き上げたか、そしてその賃金引き上げを受ける従業員が何人か」という点で決まります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.htmlから引用

例を挙げてみましょう。

従業員の最低賃金を30円引き上げ、対象となる従業員が3人の場合、助成金の上限額は90万円となります。これは「30円コース」と「引き上げる人数が2〜3人」に該当するためです。

また、事業所の規模によっても助成金の額が変わります。事業所の従業員数が30人以上の場合と30人未満の場合で、適用される上限額が異なります。

ただし、多くの事業所では従業員数が30人未満であることが一般的です。したがって、表の右側に記載されている金額を参照すると良いでしょう。

ちなみに、この補助金の最大金額は、「90円コース」で10人以上の場合の600万円となっています。

ただし、最も一般的なケースは、30円から45円コースで、対象となる従業員が2人から6人程度の場合です。そのため、ざっくり100万円前後となるケースが多いでしょう。

 

助成率

助成率は、事業場内最低賃金の金額によって異なります。具体的には以下のようになります。

事業場内最低賃金:900円未満900〜949円950円以上
助成率:9/104/5 (9/10)3/4 (4/5)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.htmlを参考に作成

 

  1. 事業場内最低賃金が900円未満の場合
    • 助成率は10分の9です。例えば、100万円の投資をした場合、90万円が補助されることになります。
  2. 事業場内最低賃金が900円以上950円未満の場合
    • 助成率は5分の4です(カッコ内の10分の9は特定の条件下で適用されます)。
  3. 事業場内最低賃金が950円以上の場合
    • 助成率は4分の3です(カッコ内の5分の4は特定の条件下で適用されます)。

この「カッコ内」の助成率は、「生産性要件」を満たした場合に適用されます。

生産性要件とは?

生産性要件とは、付加価値の伸び率に基づいて設定される要件です。付加価値は、営業利益、人件費、減価償却、動産不動産賃料、租税公課を合算したものです。

生産性要件算定シート(共通要領 様式第2号)から抜粋

具体的には、最新の決算年度(例:2021年度)とその3年前の年度(例:2018年度)の数字を比較します。生産性は付加価値を雇用保険被保険者数で割ったもので、この伸び率が5%以上であれば生産性要件が適用されることになります。

詳細については、弊社までお問い合わせください。

 

助成対象経費

この助成金は、基本的に生産性向上に寄与する設備投資を対象としています。つまり、生産効率を高める設備の導入は、ほとんどの場合で助成の対象になります。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000621401.pdfから引用

公式ページの例を用いると下記の通りです。

  • パン・菓子製造業の場合:原料充填機やパン発酵機など
  • 冷凍調理食品製造業の場合:食材カッターや食材皮剥き機など

また、これら以外にも、「包装機」や「冷凍倉庫」なども補助対象になります。

 

業務改善助成金の申請の流れ

業務改善助成金の申請プロセスを、4つのステップでわかりやすく説明します。

 

ステップ1: 申請書類の提出

まず、業務改善計画を含む交付申請書などの必要書類を作成し、提出します。

 

なお、他の補助金と同様に、この助成金も「予算の範囲内において実施」となるため、申請期限内であっても募集が終了する可能性があります。

直近では、令和6年(2024年)1月31日までに申請する必要があります。

 

ステップ2: 計画通りの事業実施

申請書に記載された設備投資を実施します。

計画と異なる設備を導入すると、計画通りに実施されていないと見なされる可能性があるため注意が必要です。

よくある間違いとしては、例えば、最初に「A種類の機械を導入する」と計画していたにも関わらず、実際には「見積書とは異なるB種類の設備」を導入してしまった場合です。

これは計画通りに実施されていないと見なされる恐れがあります。

 

ステップ3: 事業実績報告書の提出

計画に従って事業を進めた後、労働局に事業実績報告書を提出します。

この報告書には、設備導入の結果などを記載します。

しばらくすると、管轄の都道府県労働局から申請内容の審査結果が返ってきます。

この時に書類不備があると、補助金の受給に時間がかかったり、補助金額が減少したりする可能性があります。

 

ステップ4: 助成金額の確定

申請内容が認められると、補助金額が確定します。

中小企業や小規模事業者に対して確定通知が届き、その後、助成金が支払われ、手続きが完了します。

この一連プロセスには一定の時間がかかるため、余裕を持って申請することが重要です。

 

プロが選ぶ業務改善助成金の活用方法

業務改善助成金の効果的な活用方法について、特に金属切削加工業やその他のものづくり企業向けに解説します。

1. 設備投資額に応じた選択

設備投資額が1,000万円以上の場合、業務改善助成金だけでは受け取れる金額が少なく、不十分である場合が多いかもしれません。

このような場合、ものづくり補助金各都道府県の補助金を活用することで、より多くの資金を得ることが可能です。

これらの補助金は、500万円から1,000万円程度の支援を提供していることが一般的です。

 

2. 業務改善助成金の適切な活用

一方、設備投資額が100万円から150万円程度の場合、業務改善助成金の利用が適しています。

この額面の投資に対して、業務改善助成金は十分な支援を提供できるからです。

 

3. 事業場単位での申請の利点

業務改善助成金は会社単位ではなく事業場単位で申請できる特徴があります。

例えば、3つの工場を運営している場合、本補助金を3回活用することで、それぞれの工場に対して設備投資を行うことができます。

このように、業務改善助成金を戦略的に利用することで、ものづくり企業は生産性の向上と経営の効率化を図ることができます。

 

まとめ:業務改善助成金を活用しましょう!

毎年従業員の賃金を上げている企業で、その賃金が最低賃金に近い場合、本助成金の申請を検討することをお勧めします。

賃上げに伴う経済的なリスクを減らしながら、新しい設備投資を行う絶好の機会と言えるでしょう。

申請に必要な要件を満たしているかの確認が必要な場合、弊社では無料で相談を受け付けております。

適切なアドバイスを受けることで、申請プロセスをスムーズに進めることが可能です。

是非、この機会を活用して、業務改善助成金の申請を検討してみてください!

 

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    この記事を書いた人
    代表取締役 藤井孝介

    元キャリア官僚。農林水産省、製造業向け大手人材会社営業、会計事務所取締役を経て2023年4月に株式会社プリュムを創業。初見の補助金が得意で、2年間で60件(12種類)を採択に導く。2023年3月『補助金から学ぶ経営者マインド(幻冬社)』出版。補助金申請支援を行うほか、社会貢献活動として高校での出張授業や大学3〜4年生向けに面接対策など人材育成に取り組む。

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