ものづくり補助金の申請には、いくつもの提出書類を用意することになります。
また、資料の提出は申請時だけではありません。
その後の補助金受領までのプロセスにおいても、さまざまな書類提出が求められます。
この記事では、ものづくり補助金の申請に際して必要となる書類や、その後の手続きにおいて必要となる書類について解説します。
下記のような疑問をお持ちの方は、この記事を参考にしてみてください。
なお、本記事では基本的に「ものづくり補助金の通常枠に申請する」ということを想定した内容となっています。
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申請から補助金受け取りまでの流れ
事前準備
申請前の準備として、事前に「GビズID」を取得しておきましょう。
これは、ものづくり補助金を電子申請するために必要となります。
公募申請
公募が開始されたら、申請を行いましょう。
申請締め切りから2〜3ヶ月ほどで採択結果が発表されます。
公募申請の際に必要となる書類は次のとおりです。
(1)事業計画書
事業計画書ついては、様式の指定はなく自由となっています。
ただし、公募要領の29ページにも記載のあるとおり、下記の3つのテーマについて記入する必要があります。
また、ページ数についても10ページ以内という制限があります。
(2)補助経費に関する誓約書【様式1】
こちらは、補助金事務局から提示されている様式があるので、それを元に作成して提出します。
注意点としては、例えば16次公募に申請するにもかかわらず、15次公募の様式を使ってしまうといった間違いをしないように、必ず最新の様式であるかを確認しましょう。
(3)賃金引上げ計画の誓約書【様式2】
こちらは電子申請システム上で作るものなので、Excelなどのツールで資料を作成する必要はありません。
ただし、申請時には直近月の事業場内最低賃金や直近決算の給与支給総額を明記する必要があるため、これらの情報をきちんと整理しておく必要があります。
事前の準備をしっかりと行い、スムーズな申請を目指しましょう。
(4)決算書等
直近2年間分の決算書をご用意ください。
決算書の中身には、下記が含まれていることを確認してください。
(5)従業員数の確認資料
下記の書類を用意しましょう。
(6)労働者名簿
従業員が21名以上の場合にのみ、労働者名簿を提出する必要があります。
ただし、20人以下でも、電子申請システム上での手入力が必須となるため、提出必要か否かの差はありますが、いずれの場合であっても申請のためには事前に情報を整理しておく必要があります。
この名簿には、以下の項目を必ず含める必要があります。
その他:あると便利な書類
ここまで紹介した6つが、応募申請時に必要となる基本的な書類です。
しかし、これらの他にも、追加で手元に用意しておいた方が便利な書類があるので紹介します。
まず1つ目の「見積書」については、提出が必須というわけではありませんが、「事業計画書」の作成時には、補助対象となる設備の型式やその機能の詳細を明確に記述する必要があります。
そのため、見積書を手元に用意しておかないと、事業計画書の作成が難しくなるでしょう。
2つ目の「カタログ」については、後々の手続きで求められるため、今の段階で用意してしまった方が効率的です。
そして3つ目の「工場の賃貸借契約書」については、事業を実施する場所が確定していることを示すために必要となります。
もし工場を他の方から借りているのであれば、その関係を示す賃貸借契約書の提出が求められますので、これを準備することをお勧めします。
一方、工場を所有している場合は、不動産登記簿等の書類で証明可能です。
交付申請
採択が確認できたら、ここから1ヶ月程度をかけて補助金の「交付申請」という手続きを行います。
採択がされた時点で、補助金を受け取る資格は確保されるのですが、実際の金額はこの段階ではまだ確定していません。
採択の後の「交付申請」を通じて、補助対象となる経費の詳細な確認が行われます。
例えば、初めに1,000万円の補助が採択されたとしても、具体的な見積書の内容によっては雑費の部分が補助対象から除外され、最終的に995万円の補助となる可能性も考えられます。
このように、交付申請の段階で補助金の金額が細かく見直されることがあるのです。
交付申請が提出されると、補助金事務局は内容を確認・審査をします。
そして、審査の結果が発表されますが、これを「交付決定」と呼びます。
さて、この交付申請の段階で必要となる書類は、次のとおりです。
これは「補助事業の手引き」という資料に記載があります。
交付申請書
交付申請の際には、事務局の公式サイトからダウンロード可能な「交付申請書」というExcelシートが必要です。
また、この申請の際に、見積書(相見積)やカタログの提出が求められることがあります。
先ほど解説した「交付申請」の時にこれらの資料を用意していれば、スムーズに申請プロセスを進めることができます。
見積書(相見積)
見積書については、「項目」が一致していることが求められます。
具体的には、品名と数量です。
そもそも相見積もりとは、複数の業者から同じ商品の見積書を複数取り寄せて比較するためのものですので、項目(見積書の中身)がそれぞれに違ってしまうと比較になりません。
同じ項目で、業者によって金額の違いがあり、その中で安い業者を選択するということを明確に示すためにも、相見積の項目は揃えましょう。
履歴事項証明書・確定申告書
法人の場合は履歴事項全部証明書が必要です。
交付申請提出日から過去3ヶ月以内に発行されたものを ご用意いただく必要があります。
個人事業主の場合は直近の確定申告書(第1表)が必要です。
補助経費に関する誓約書、賃金引上げ計画の誓約書
記載の通りの書類が必要です。
なお、ケースによっては他にも必要な書類がありますが、今回は「機械装置・設備の導入」を前提としていますので、ここでは省略します。
その他の必要書類についてわからないことがありましたら、ぜひ一度弊社までお問い合わせください。
補助事業の実施
交付決定が発表されれば、実際に補助事業を実施します。
補助事業の実施というのは、要するに「予定していた事業を計画通りに行う」ということです。
具体的には、設備の発注、納品、支払いといった手続きを行います。
期間を超過してしまわないように、計画的に事業を進めるようにしましょう。
実績報告・確定検査
補助事業の実施が完了したら、「実績報告」を行います。
先ほど解説した「交付申請」の内容通りに事業が実施されたかどうかを報告する手続きです。
この実績報告を持って、補助金事務局が「確定検査」を行います。
この検査で問題がなければ、補助金の金額が最終確定します。
さて、この実績報告の段階で必要となる書類は、次のとおりです。
こちらは、「実績報告資料等作成マニュアル」という資料に記載があります。
実績報告書
ものづくり補助金で設備導入する際には、以下の3つが必要となります。
カッコ書きにも記載のある通り、これら様式が用意されているので、それらを使用して作成します。
出納帳
出納帳は、以下の書類を準備しましょう。
「預金出納帳、現金出納帳」は補助事業に要した経費の出納状況が分かる資料を用意する必要があります。
通帳のコピーは、以下の3つのページをコピーして準備しましょう。
注意点としては、これらの資料は「補助対象経費」ごとに用意する必要があります。
例を挙げると、もし1台の機械を購入した場合、関連する資料は1セットで十分です。
しかし、2台の機械を購入した場合、それぞれの機械に関する資料を別々に準備する必要があります。
写真
補助金の申請に関連する写真の提出では特定のタイミングでの撮影が求められます。
具体的には、製品が納品された時、設置された時、そして試作品が完成した時といったシーンでの写真が必要です。
補助金の請求・受け取り
確定検査まで無事終了したら、補助金事務局に請求を行います。
すると、所定の事務処理期間を経て、銀行口座に補助金が振り込まれます。
全ての手続きが完了してからは、毎年4月に報告依頼(事業化状況報告・知的財産権等報告)が来るので、指示に従って報告を行うようにしましょう。
補助金をサクッと早く入手する方法
ここからは、補助金を手っ取り早く受け取るための方法を3つ紹介します。
補助対象経費を1つ or 2つに絞る
1つ目の方法は、補助対象経費を1つか最大でも2つに限定することです。
その理由は、経費ごとに必要とされる見積書などの書類数が減少するためです。
私の知り合いの方で、過去に7〜8種類の経費を補助対象として応募した方がいましたが、その方は必要な書類の収集に苦労し、結果的に補助金の入金が大幅に遅れたケースがありました。
このような事態を避けるため、補助対象経費は1つ、あるいは最大で2つに絞ることを強く推奨します。
事業実施期間を短くする
2つ目の方法は、事業実施期間を短くすることです。
補助金の請求を速やかに行うために、事業実施期間のスケジュールをできるだけ圧縮するのが鍵となります。
事業の実施期間は10ヶ月以内とされていますが、もし可能であれば、6ヶ月など短い期間で事業を完了させることが望ましいです。
なぜなら、事業を早期に終了させることで、次の手続きに迅速に移行できるため、補助金を早く受け取ることができるからです。
補助金を2種類活用する
3つ目の方法は、補助金を2種類活用することです。
これは、方法の2つ目で紹介した「事業実施期間の短縮」との併用することで効果を発揮します。
具体的には、次のような方法です。
このアプローチの利点は、ものづくり補助金での部品製造が完了した時点で、実績報告が可能となるため、展示会の完了を待つことなく、補助金の請求が可能になります。
また、展示会出展についても、大規模な機械導入なしで迅速に展示会へ進出でき、事業がスムーズに進行します。
申請のために今日からやるべきこと
ここまで、全体のスケジュール感・必要書類、補助金をサクッと手に入れる方法を紹介しました。
しかし、この記事を読んでいる人は、現在「申請段階」にいる方が多いと思います。
そのような方に向けて、以下では今日からやるべきことをお伝えします。
GビズIDの取得
まずは、GビズIDを取得しましょう。
これは先ほどの紹介しましたが、補助金を電子申請するために必要となるものです。
見積書・カタログの準備、決算書などの添付準備
見積書やカタログ、決算書などの添付資料の準備を進めましょう。
特に、見積書やカタログの取得は注意が必要です。
これは、機械のオプションや詳細を選択する必要があるため、他の業界に比べて準備に時間が掛かるからです。
したがって、事業計画が具体化した段階で速やかにこれらの書類を手配することをおすすめします。
補助金申請の過程で特に手間取るのは、必要な書類を揃える部分です。
一旦書類が全て揃ってしまえば、計画書の作成は専門家のサポートを受けることで迅速に完了します。
そのため、初めの段階で添付書類の収集を素早く完了させることがポイントとなります。
信用できる専門家に無料相談する
信頼性の高い専門家に相談してみることもおすすめです。
多くの専門家は基本的に無料相談を提供しています。
特に、弊社では実績豊富な専門家が対応いたします。
大手出版社を通じたビジネス書の執筆経験を持つ専門家が、あなたの質問や悩みに答えますので、ぜひお気軽にご相談ください。
さて、ここで初めて気がついた方もいるかもしれませんが、補助金は事後払いの制度となっています。
例えば、新しい機械を導入する際、最初に機械を自己負担で購入し、その後でその費用の一部を補助金として受け取る形になります。
前もって補助金を受け取れるという仕組みではないので、くれぐれも注意しましょう。